年の差恋愛
「…そろそろ、離しませんか?周囲の視線がイタイんですが」

くぐもった声で言った亜美。茂も同調して、亜美を解放した…が、繋いだ手だけは、離さなかった。

そしてまた、歩き始めると、茂が呟くように言った。

「…帰りに、スーパー寄るぞ」
「…スーパーですか?」

「…今晩は、俺が飯作るから」
「エッ⁈茂さん料理作れるんですか?」

あからさまに驚いて言う亜美に、茂はムスッとする。

「…何年一人暮らししてると思ってんだ?料理は、大体出来る」

「…凄い!わぁ、楽しみです!何作ってくれるんですか?」
「…んー、何か食べたいものは?」

「そうですね〜…」

何て言いながら、亜美はクスクスと笑う。茂は何笑ってんだという顔をした。

「…何だか新婚さんみたいな会話だなって」
「…ん、…それも悪くない」

「…え?」
「…いや。…で?何が食べたい?」

話をはぐらかすように、メニューの話をする茂に、亜美も、それに応えるように、考えていた。

買い物をしながら、あれがいいとかこれがいいとか、話をしながら、買い物を済ませ、今日は、茂の部屋へ。

その前に、亜美はスーツから、普段着に着替えて、茂の部屋へ行った。

「…わー…生活感がないですねー」
「…まぁな、男の部屋なんてこんなもんだろ?」

必要最低限の家具があるだけで、モノーンで落ち着いた整頓された部屋。

「…仕事も私生活も、真面目なんですね」
と言うと、亜美はクスクスと笑った。

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