年の差恋愛

この壁は乗り越えられない

洋一と酒を交わした週明けから、茂は仕事が忙しくなり、亜美の実家に顔を出す事が出来なかった。

亜美もまた、仕事が忙しく、毎日残業が続いた。

仕事が落ち着いてきた頃、亜美と茂は、亜美の実家に呼び出された。

行く途中、亜美はずっと作り笑いを浮かべていた。そうでもしないと、茂の前で泣いてしまいそうだった。

「…いらっしゃい、2人とも。さぁ、中に入って」

玄関で出迎えてくれたあけみに促され、リビングに入った2人。洋一がいて、その反対側に、2人は座った。

「…突然呼び出して悪いな」
「…大事な話とはなんでしょうか?」

洋一に問いかけた茂。洋一は、大きな溜息をついた。

「他でもない。2人の結婚の事だ」
「「…」」


「…前みたいに、もううちに来るな、茂」
「…何故ですか?」

「…亜美との結婚の話は、全て白紙に戻す」

洋一の言葉に、茂は目を見開いた。…あの晩、2人で酒を交わした。…近づけたと思った。それなのに、何故白紙に戻すというのか?

「…亜美も、白紙に戻すと言ってる。そうだな、…亜美」

洋一の言葉に、亜美は頷き、俯いた。

「…亜美、どういう事だ?」

茂は静かに亜美に問いかけた。

「…それは、茂さんが、一番知ってるはずです」
「…なんの事を言ってるのか、分からない」

「…とにかく、この結婚は、なかった事にしましょう」
「理由が分からないのに、白紙になんて、出来ない!」

「…茂。亜美を責めるな。頼むから、亜美の言葉を素直に受け入れてくれ」

亜美を庇うようにそう言った洋一は、話は終わったから帰れと言う。
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