百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


私は、遥に尋ねる。


「これ…“お守り”?」


すると、遥は無言で頷いた。


…ベルトにつけるなんて
よっぽど大切なものなのかな?


よく見ると、その紺色のお守りには、赤黒い染みが付いている。


「……今日ついた血……じゃないよね?」


それは、もう結構時が経ったような血の染みだった。

すると、遥はお守りを手に取って答える。


「これは……もらった。」


“もらった”…?

こんな血だらけのお守りを?


「誰に…?」


私がそう言うと、遥は、ぴくり、とまぶたを震わせて

そして、私に背を向けて小さく答えた。


「………凛っていう女。」


……!


どくん、と胸が鈍く鳴った。


“凛”さん?


もしかして……それって………


「……彼女?」


遥は、私の問いに、無言で頷いた。

それは、前に雅から聞いた、亡くなった彼女のことだよね…?


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