百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、なぜだか心の中に黒い雲がむくむくと湧き上がってくるような気がした。
……遥……まだ、彼女のこと……?
私が、じっ、と見つめていると
遥は私に背を向けたまま、言った。
「……詠がいて良かった。
俺、また折れるとこだった。」
え?
私は、オムライスを食べる遥の顔を覗き込む
「……何だよ。」
遥の言葉に、私は遥を見つめながら答えた。
「……泣きそうなのかな、って思って。」
すると、遥は少し驚いたような顔をした。
そして、ふっ、と笑って「…泣かねぇよ。」と呟く。
遥は、私と目を合わせて続けた。
「…まぁ、お前がいなくなったら、泣くかもな。」
……!
私は、動揺を隠しながら言う。
「また、いつもの冗談で、からかってるんでしょ…?」
遥は、私の言葉に目を細めて小さく言った。
「………どうかな………。」