百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
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その日の夜。
私は一人でカーペットの上に座っていた。
……今は、遥がお風呂に入ってて部屋に
いないから心臓が落ち着く。
ぼーっ、としていると
さっきの遥との会話が頭に浮かんできた。
……“凛さん”。
そういえば、どこかで聞いたことがある
ような気がする。
…同名の友達……?
いや、それはいない…。
どこで聞いたんだっけ………?
私が思い出しかけたその時だった。
ドンドン!
脱衣所から扉を叩く音が聞こえてきた。
?!
な……なに?
脱衣所でなに暴れてんの、アイツ…?
恐る恐る近づいて、扉越しに声をかける。
「遥、どうしたの?
あんまりうるさくすると、壁壊れるよ?」
すると遥は、私が想像していなかった
ことを言い出した。
「…タオル忘れた。取ってきてくんね?」