百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
びくっ!
遊馬の声に、体が震えた。
咄嗟に目の前へと視線を移すと
妖はもうすぐそこまで迫っていた。
か……構える?
どうすればいいの?!
私は、焦りがどんどん大きくなっていく。
心臓の音だけがはっきりと聞こえた。
と、次の瞬間
ギョロリと、目玉を動かす大きな赤い妖が、ズン、と私に近づいた。
や…………やばい………!
私が、声も出せずに体を硬直させた時
私の肩を、誰かが、ぐっ、と支えた。
パァンッ!!
一発の銃声が、辺りに響く。
!
私の目の前の妖が、光を帯びながら消えていく。
………す…ごい……!
目を見開いた瞬間
私の耳元で優しい声が聞こえた。
「佐伯さん、落ち着いて。
……僕の言う通りにすれば大丈夫だから。」
どきん!
後ろを振り返ると、そこには銃を手にして、私を支えている周くんがいた。
「どんどん来るよ。……さ、銃を構えて。」