居場所をください。



「で、お前名前は?」


「え…なんで…?」


「知りたいから。名前は?」


貴也は優しい笑顔で私を殴ろうとした女の子に聞いた。

優しい優しい営業スマイルで。


「田邊美優紀です。」


その笑顔に素直に答える女の子。


「田邊美優紀な。

そっちは?」


もう一人の女の子にも聞く。


「秋山皐月です。」


「さんきゅ。

じゃあきっちり長曽我部さんに報告しとくから。」


鬼だね。

前に私に突っかかってきた人たちも

事務所から消えた。


ちょっとホラーだよ。怖いよ。


「それだけは…!」


「言うなって?

でも俺が言わなくても

お前どうせもうすぐ更新だろ。

すぐに契約切られる。

早いか遅いかだろ。

見込みのないやつは

すぐ見捨てる事務所だからな、あそこは。」


…社長……………。

それもどうかと思うよ…。


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