居場所をください。



「それにな、長曽我部さんは頑張ってるやつには

一回はチャンスを与える。

デビューすらさせてもらえないお前は

頑張りを認められてねーんだよ。

お前はなにをしたんだよ。

デビューのためになにをしたんだよ。」


「それは…。」


「そんなこともすぐに答えられないやつが

美鈴に突っかかってんじゃねーよ。

こいつがデビューまでにどんだけ努力をしたか

お前にはわかんねーだろうな。


今だって、時間ができれば体を鍛えて

発声をして、見えねー努力をしてんだよ。

なにもしてねーやつが偉そうなこといってんなよ。」


貴也がそういうと

女の子はもうなにも言わなかった。


「それと、芸歴2年のやつが

芸歴16年の俺に対する態度がそれかよ。」


……………聞いてたんですか。

この人は…。


「……………貴也ってさ

演技力すごいよね。」


私がそういうと


「俺を誰だと思ってんだよ。」


貴也は少し微笑んで言った。


「テレビの前では可愛くニコニコしてる松野貴也が

本当はすごく気が強くて口が悪いなんてね。」


「うるせーよ。」


そういって私の前に座った。


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