居場所をください。



しばらくして貴也が来て

撮影再開。


「大橋さんは軽く押してね。

五十嵐さんはわざと転ぶ。演技でね。


そのシーンを見た松野くんが止めて

五十嵐さんを庇って別れを告げる。


松野くんは大橋さんに言いつつ、

五十嵐さんにも気持ちを伝える

っていう感じ。わかる?」


「大丈夫です。」


貴也がそういうと撮影が始まる。



「だからさぁ、五十嵐さん、

あんた邪魔なの!」


すごい剣幕で私を押す大橋さん。

それは全く軽いものではなくて…


「…ったぁー…。」


本気で転んでしまった。


そこに貴也登場。


「なにしてんだよ!」


うん、演技の貴也。


「はぁ、もう無理だわ。別れよ。

俺、こいつのこと好きだから。」


その言い方があまりにもいつもとちがって

演技だった。


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