居場所をください。



「五十嵐さんは黙ってうつむいててね。

大橋さんは圧をかけながらね。


じゃあいきまーす!

よーい、スタート。」


すぐさま本番が始まった。

長曽我部さんたち来てくれないのかい。

まぁ映像は向こうで見られるもんね。


「…五十嵐さん、私も好きなの。」


え?


「貴也くん。だからさ

渡さないから。」


最後の大橋さんの表情はすごかった。

私は目を離せなかった。


「はい、カット~!オッケー!」


即OK。迫力が本気だったんだ。

怖かった。


「…本気?」


「本気だよ。」


大橋さんはにっこり笑って

私に言った。


「次はここに貴也くん来るシーンね。

貴也くん今トイレだから待ってて~。」


なんだそれ。



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