居場所をください。
コンコン…
「よ、俺。
調子どう?」
「うん、別に異常なし。」
母さんはいつもと変わらず
家と同じようにサスペンスドラマを見ていた。
「最近来れなくて悪いな。」
「子供が親に気を使わなくていいの。
それに…」
「母さんはその方がいいだろ?」
「……………ありがとう。」
俺にできることはこんなことしかないから。
17の俺に、親の気持ちなんかまだわからない。
わかろうとしても、親の気持ちは複雑だ。
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「なぁ、貴也。
たとえ自己満足でもな、
親は子供のそういう気持ちだけで
十分幸せなんだ。
親なんてそんなもんなんだよ。」
「……………長曽我部さんは子供がいないのに
なんでそこまで…?」
「俺にとって美鈴は子供みたいもんだからな。
無償の愛っつーのかな。
見返りなんて全く求めてねーのに
美鈴が俺のためにってしてくれることが
全部嬉しいんだよ。
俺は美鈴が俺の飯を食って
嬉しそうにうまそうに笑うのがみたくて
ずっと飯を作ってたのに
初めて俺に飯作ってくれたときは
それだけでももう泣きそうなくらい嬉しかったな。」
「気持ち悪いですね。」
「うるせーよ。
でも親もそんなもんだと思うぞ。
お前が何かしてやろうって
それだけで嬉しいんだよ。
だからいちいち悩むなよ。
決めたなら突き進めよ。」
「はい。」