居場所をください。
「ほら、外泊許可出た。
今日帰ろう。俺のとこだけど。」
「でもなんで貴也の部屋?
うちじゃなくて。病院でもいいのに。」
「美鈴がこれる頃には消灯時間過ぎてる。
そんな時間に美鈴がここに来たら補導されるわ。
実家は…まだ美鈴に知られたくねーんだよ。」
「なんで?」
「まぁいろいろ。
それに俺の部屋なら美鈴も来やすいだろ。
場所も知ってんだから。」
「あぁ、そうだね。」
「じゃあ俺美鈴に連絡してくるから。」
俺は病室を出て
長曽我部さんに電話をした。
「すみません、今平気ですか?」
『あぁ、なに?』
「今日美鈴に仕事終わったら俺の部屋
来るように言ってください。
母さんが会いたいみたいなんで今日俺んち連れてくんで。」
『了解。』
たったそれだけだけど
長曽我部さんに伝えてもらった方がいい気がした。
俺だと余計なことをいっちゃいそうで怖かった。