居場所をください。



もう何回もいってると思うけどね。

私、どんだけ長曽我部さんのこと好きなんだ。


「ま、長曽我部さんは

ずっと美鈴のそばにいるだろうな。

あの人が結婚しないのも

美鈴のためじゃねーの?

あの人はもうきっと誰にも美鈴の兄ということを

公表しないだろうしな。美鈴のために。

美鈴に何かあったときに嫁がいたら

美鈴のためになにかしようとすれば

勝手に勘違いするだろうし

長曽我部さんそういうの面倒な人だし。

美鈴には長曽我部さんしかいねーわけだしな。」


「……………ばかでしょ。」


「人のために自分の人生捧げるとこ

本当に似てるよな。」


「え、私も?」


「じゃなきゃ美鈴は誰のために

今必死にやってんだよ。」


「あぁ、そっか。」


……………でも私の場合

長曽我部さんに見捨てられたくないからで

自分のためでもあるわけだけど。


「さてと、俺帰るわ。」


「あ、うん。

今日はありがとね。」


「こちらこそ。ありがとな。」


そういって私にキスをする。


「じゃ、またな。」


「うん!じゃーね!」


私はドアがしまるまで

貴也の姿が見えなくなるまで手を振った。


優しい優しい貴也の笑顔を

見逃さないように。



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