居場所をください。



それから私は時間ギリギリまで声を出した。


「美鈴、そろそろ。」


「うん。」


なんだろう、すごい緊張する。


いつもいるダンサーもいない。

バンドメンバーもいない。


いつもいるメンバーがいないだけで

こんなに不安になるものか。


「よろしくお願いします。」


前室に移動し、

そこで長曽我部さんから流れを確認。


「とりあえず、呼ばれたら出てけ。」


「うん。」


立ち位置も確認。

うん、大丈夫だよね。


「今日は一人だけど頑張れよ。」


「……………大丈夫。

独りじゃないから。」


今日は長曽我部さんしかいないけど

長曽我部さんがいるから。



……………テレビも慣れてきたはずだったのにな…。


「あー、だめだー。」


私は結局前みたいに

長曽我部さんに抱きついた。


「大丈夫。

っていうかなにがそんな不安なんだよ。

もっと喜べ。


貴也がどっかで見てるよ。」


「うん。」


頑張らなきゃ、ね…。

負けてられないもんね。



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