居場所をください。
「会いたいか?」
「そりゃね。
でも、行ったらフラれるんでしょ?」
「だろうな。
あいつ、美鈴のことが一番だから。」
「なら行けないよ。
早く帰ってこないかなー。」
「貴也の母親に早く死んでくれ
って言ってるようなもんだぞ。」
「わかってるよ。
でも会いたいのも本音。
貴也のお母さんだって大事だけどさ…。」
「複雑か。
まぁ会社の人間の立場からしたら
俺も貴也には早く帰ってきてほしいけど
あいつにも少しは休みやんねーとな。」
「わかってるよ。」
わかってるけどさ。
会いたいものは会いたいし
寂しいものは寂しいんだ。
……………違う女の子と会ってるしさ。
声を大にして言いたい。
貴也の彼女は私だって。
私たちは別れてないって。
「……貴也が帰ってきたら
私は貴也と付き合ってるって言っていいの?」
「ダメなんて一言もいってねーよ。
今は特別。
貴也がめんどくせーことにならないために
美鈴に協力させてるだけだから。」