居場所をください。



「いいなぁ、おしりきれいで。」


「ちょ、どこ見てんの。」


「若いっていいな。」


「……………毎日ヒールはいてるからじゃない?」


「まぁそれもあるだろうけどさ。

あと細いし。

美鈴ちゃん見てると自分が惨めになってくるよ。」


「佐々木さんだってきれいじゃん。」


「……………ありがとう。」


お世辞じゃないのに。


「よし、声出ししてこよ。

佐々木さん、またあとでね。」


なんだか今はあんまり緊張してない。

ここになれたのかも。


「あ、美鈴ちゃん

支度できた?」


ちょうどそこに佐藤さんが来た。


「うん!」


靴もはきかえて、

すっかり私は五十嵐美鈴となった。


「じゃあ行こ。

みんなで気合いいれに。」


「うん。」


私は佐藤さんと手を繋いで

この暗闇を歩いた。



< 2,212 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop