居場所をください。
「おー、来た来た。
こっちこっちー。」
あの巨大な抽選箱を
大人4人がかりで運んできた。
「はい、オッケーです。
ありがとー!」
真ん中へ運ばれてきた抽選箱。
そしてかなり伸ばされた延長コード。
普通にコードなんだね。
当たり前か。
「実はですねー」
設置を終えてすぐハルが説明を始めた。
「っていうかこれ、なにかわかる?」
ユリ姉がそれを遮った。
「これ電源をつけると
この中に風がぶわーってなって
この中に入ってる紙が舞い上がって、
この、横のところから手を入れて
紙を一枚掴む、っていうシステムの抽選機なんだけどね」
そして結局私が喋る。
それを見ていたハルが負けじと
喋りだす。
「みんな会場入ってくるとき、
チケット切られたでしょ?
あの切られた側のがこの中に全部入ってるの!
だからここにいる全員が対象になるわけです!」
「で、なにを抽選するかなんだけど…」
ユリ姉はそう言って私を見るけど
ハルが喋りたそうだよ。
「実はですね、ライブが終わったあと
裏で美鈴ちゃんに直接会えちゃいます!」
やっぱりハルが喋った。
そして盛り上がる会場。
うん、よかった。
喜んでくれてよかった。
別に会いたくねーし、みたいな感じだったら
どうしようかと思ってたよ。