居場所をください。



「そうやって

父さんがいなくても

美鈴が普通でいられたのも

なんかショックだったらしいけど。」


「はぁ?

じゃあ落ち込みまくって

仕事にならなければよかったの?」


「そこまで言ってねーけど

少しは寂しがって欲しかったんじゃねーの。」


「長曽我部さんはそんなこと気にしないよ。」


「そんな風には見えねーけどな。

いきなりここに連れてきたのは

父さんも悪いと思ってるみたいだけど

美鈴に土産がたくさんあるから

早く渡したかったんじゃねーの。」


「お土産?

さっきなんかお菓子もらったけど。」


「それは仕事場にだろ。

とにかく美鈴に喜んでほしかったんだろ。

子供の俺がここまで気遣ってんだから

さっさとどうにかしてくれよ。

お前らは高校生カップルか。」


「私は高校生だけど。」


「さっさと機嫌直して

仲直りしてやってよ。」


「……………でも今は吐きそうでヤバイから

とりあえず寝る。寝不足だし。」


薬薬…。


「なにそれ。」


「……………長曽我部さんには内緒ね。」


私はバッグから薬と水を取り出して

飲み込んでからまた布団に横になった。


「じゃあ寝るから。

おやすみ。」



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