居場所をください。
「で、美鈴ちゃん!
俺の店いかなーい?」
「い、樹生さんの店…?」
「樹生さんだって!ひかる!
俺の名前覚えてくれたんだけど!」
「……………お前美鈴を名前すら覚えられない
ガキだと思ってたのかよ。
しかもいい歳してなに美鈴にときめいてんだよ。」
長曽我部さんは完全に呆れてる。
「女の子はやっぱ若い方がいいし!
可愛い子は何歳でもときめくんだよ!」
はは、悠斗みたい。
悠斗も歳とったらこうなんのかなー。
「樹生さんはなんのお店してるんですか?」
「樹生はカラオケバー。
歌歌いながら酒飲むとこ。
ホスト上がりが流れてくるかな。」
と大和さんが教えてくれた。
やっぱ大人の世界。
ガキな私にはまだ早い。
「美鈴にはまだ早い。
それにタバコくせーから美鈴は嫌がるし
美鈴に歌わせようとする魂胆が見え見え。」
「まだ客いないから臭くねーし!
堅いこと言うなよ!俺らの仲じゃーん。」
「俺ら中学の頃から仲良いんだよ。」
長曽我部さんと樹生さんが
やいやい言い合いをしてると
大和さんが私にこそっと教えてくれた。
「え、そんな前から?」
「うん。」
「へぇ…長曽我部さんって
あんまり自分のこと話してくれないから
私よくわからないんです。」
毎日一緒にいるのにね。
「まぁひかるは確かにあんま自分から
話すようなやつじゃないかもな。
いっつも仮面を張り付けたような感じで
感情をひた隠しにしてきて。」
「え、そうなんですか?」
「美鈴ちゃんの前では違うの?」
「私の前だと…たまに鬼の仮面を貼り付けてきますね。」
「はは、変わってねーな。」