居場所をください。
「…………どうして…」
「どうしてって。
いつでも来ていいから
俺に鍵を渡したんだろ?」
「なんで……」
「……美鈴は俺を一人にしないんだろ?
俺の居場所を守ってたんだろ?
俺が帰ってくるって言ったことを
今でも信じてるんだろ?」
いかにも、毎日そうしているかのように
私のソファの左端に座って
優しい笑顔でこっちを見ている。
その姿が懐かしくて
信じられなくて
私は立ち尽くしてしまった。
「ちゃんと俺んとこまで届いたよ。
美鈴が出した手紙。」
そういって立ち上がって
私を抱き締めた。
その温もりが懐かしくて愛しくて
私はまた涙を流した。
「……おかえり、貴也…」
「ただいま。」