居場所をください。
「……そろそろ説明聞く。」
「じゃあ座るか。」
私は貴也から離れて
貴也に手を引かれてソファへ座った。
「去年の美鈴の誕生日の日に
俺と隼也がライブに行ったじゃん。」
「うん。」
「その日に母さんが倒れた。
母さんは介護が必要になって
俺はもう実家に戻るしかないと思った。
仕事か、母さんか
どっちかを選ばなきゃいけない状況になって
悩んで悩んで俺は母さんを選んだ。
ここのマンションから出てくことも決めた。
美鈴に話そうかはずっと悩んでた。
美鈴にいったら、きっと美鈴は俺を応援しただろうけど
絶対美鈴も手伝うだろ。
俺は美鈴の邪魔もしたくなかったし
美鈴に辛い思いをしたくなかった。
親がガンで亡くなって、施設で育った美鈴に
俺の親がガンで闘病中で介護を手伝わせるとか
手伝わなくても気にかけることすら
させたくなかった。
だから俺はなにも言えなかった。」
「……そんなの言われなくても
ちゃんとわかってるよ。」
「そうだよな。
じゃあそのあとのことか。」