居場所をください。



「私にもなにかできないかな…」


私にはお金を渡すことしかできていない。

もっといろんなことができればいいのに。


「そんなこと、きっと施設側は望んでねーよ」


「そうかな」


「美鈴が頑張ってる姿見せるのが

一番なんじゃねーの?

俺もそう思ったし。」


………あ、そっか…


「誰かのために何かするってことは

そう簡単なことじゃないんだって

長曽我部さんにも言われたんだよね」


「そうそう。

まずは美鈴が自立することが一番の

恩返しなんじゃねーの?」


「………そっか。

じゃあ頑張んないと!!」


「んじゃ俺にも勉強教えろよ。」


「え?貴也が?」


「俺もバカなままじゃな。」


「…ふふ

勉強はね、基礎が大事なの。

やるなら小学生の頃から

やり直さなきゃダメだよ。

いきなりこんなのじゃ

絶対いつか詰まってくるよ。」


「………やる気失せるわ。」


「簡単なことから始めた方が

いつの間にかできるようになってんの。」


いきなり難しいことはできないよ。




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