居場所をください。
「まーでも美鈴と朔也くん
いつまでたっても仲良くならないし
瑠樹くんもさ、朔也くんと仲良いのに
私といるときは全然つれてこないし
すっごい期待はずれ。
仕方ないから瑠樹くんと付き合ったの。
瑠樹くんもイケメンだし?
ああいう彼氏いたら怖いものなしかな、って。」
「…………じゃあ、高橋のこと
本当に少しでも好きだったことはないの?
本当に全然好きじゃなかったの?」
「うん。」
そう笑顔で答える夏音を見て
本当にこれが本性なんだと思い知った。
「………歌手になりたい、っていうのは?」
「それは本当。
ずっと憧れてたんだ~。
…なのに、美鈴はあっさりなっちゃうんだもん。
瑠樹くんと付き合っても
瑠樹くんはいっつも美鈴のこと気にかけててさ…
朔也くんのこと忘れられた頃
颯太くん見て一目惚れしたのに
颯太くんはまた美鈴のファン。
あーもういい加減にしてって感じでキレちゃったの。
私さー、美鈴の何もかもが羨ましかったのかも。」
「……結局私のことは嫌いなの?」
「嫌いって言うか目障り。
本当に本気で消したいって思ってるよ。」
笑顔でそういう夏音を見て
私は初めて恐怖を覚えた。
「…それで、私をどうするつもり?」
「美鈴と友達やってた私の経験上
美鈴はこれが一番ダメージ大きいのかな
と思ったことを。
ま、私はできないから今待ってるんだけどね。」
いつもと変わらない夏音。
話し方は昔と変わらない、
仲のよかった頃の夏音の話し方で
それがまた一段と怖かった。
「あ、来たかな?」
そのとき、外から車の音が聞こえて
しばらくして止まったエンジン音と
開いたドアの先を見て、私は固まった。