居場所をください。



「お前さー」


「んー?」


「ひかるくんとなんかあった?」


「…………別になんもないよ。」


「じゃあなんで俺んちなわけ?

お前ならひかるくんち行きそうじゃん。」


「一人になりたかったから。」


「…じゃあ今も俺について来んなよ。」


「はは、まぁそうなんだけどね。

………長曽我部さんじゃ近すぎるの。

きっとあの人はなんでも知ってる。

どうして私が家出中なのかもね。

それで心配して、私のためにって

またなにかをしようとするの。

出掛けさせようとしたりさ。

そういうのが嫌になったの。」


もう、

私のことで時間をとらせるわけにはいかない。

私も長曽我部さん離れをしなきゃ

いけないときなんだ。


「亜樹んちはさ、おばさんが

優しく話も聞いてくれるし

だからって特別なことはしないし

…まぁ泊まらせてくれるだけ

ありがたいんだけどさ。

なんていうか…微妙な距離感が

今は心地いいんだよね。

元々私ってそういうところで育ってきたし

あんまり構われるのって慣れないのかも。」


私のせいで誰かがなにかを犠牲にするのは

もう嫌なんだ。

誰も傷ついてほしくない。

愛されない方が楽なんだって

私は知ってしまった。



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