居場所をください。



エレベーターを降り、

今日もコンシェルジュを勤める仲村さんに

朝の挨拶をして、

ついでにゴミの日なのでゴミも出して、

私たちは渋谷に向かって歩き出した。


寒すぎない涼しさがとても心地いい。

暑がりで夏が嫌いな私でも外を歩くのが

全然苦にならない季節がやって来た。

照りつける太陽はもういない。

空気を暖めてくれる、優しく微笑んだような

暖かい日差しが気持ちいい。


「ん~、秋だねぇ…

ずっとこんな季節ならいいのに。」


「でも、嫌いな夏があるから

この季節がよく感じるんだろ。

ずっと温室にいたら

この季節がいいなんて思わねーよ。」


「はは、そりゃそーだ。」


辛いこと、嫌いなことがあるからこそ

幸せなこと、好きなことが生まれるってもんだ。


「………あのさ、変なこと聞くけど」


「え、なに。」


なんか怖いじゃん。


「美鈴って結婚願望あるんだよな?」


「は?え、ないように見える?

私の将来の夢知ってるよね?」


家族を作りたい、っていう

幼い頃からの私の大きすぎる夢。

芸能界に入ってから

私は何度もそんなことをいってきたのに。


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