居場所をください。



スタッフさんがバタバタ動く中、

私はカメラの位置を確認。

自分が可愛く写る角度に体を調節した。

脚も長く、細く見える角度ももう把握済み。

私もすっかり芸能人が染み付いた。


「………ところでこれ、予定は何時までやるの?」


「さぁ…でも2時間スペシャルで

映像入れてもトークで1時間あるらしいから

2時間くらいはかかるんじゃね?」


………まじか。つら。

2時間ここでやるの?ちーん。


「…っていうか、なんでうちなの…

スタジオとれなかったの?」


「まぁ美鈴のシンデレラストーリーを

詳しく知りたいらしくてさ

施設育ちの美鈴が今はこんな

いいマンションに住んでるってことも

たぶん出したいんじゃん?」


………なんだそれ。


そして一番なぞなのが

貴也にはスタイリストが来てる。

へやメイクもしてもらってる。

………なのに、女の私には

誰も来てくれていない。


なんなの、この差。


私が隼也と話してる間に

しっかり仕事モードな貴也になってるし。


………隼也のスタイリストも来てるのに。

なぜ佐々木さんは来ないんだ!!



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