居場所をください。



「じゃあ撮影再開しまーす!」


なんか…インタビュアーが隼也って

逆になんか恥ずかしくて喋りにくいや。


………でも、貴也も隼也も

ADのその一声で仕事モードに切り替わったから

私も仕事モードに切り替えた。

仕事、そう思えばなんでもできるよね。


「本番いきまーす!5..4..3...」


カウントダウンされ、

カメラに赤ランプが付き、

隼也の目線がこちらに来て

私も完全に仕事スイッチが入った。


「えー、今日は私、大谷隼也と松野貴也

そして、今年のシンデレラに選ばれた

五十嵐美鈴さんでお送りいたします。」


………シンデレラに選ばれた、って…

しかも"今年の"ってことは、

これ毎年やってるのか。


「「よろしくお願いします。」」


と、とりあえず私と貴也の声が被る。

そんなもんだよね。


「えー、俺たち3人は友人ですので

今日は普段通り、名前で

呼びあっていこうと思います。」


隼也だけは台本通り。

私と貴也は打ち合わせすらしていないから

もはやなんにもしゃべってない。


「えー、美鈴は乳児の頃から

児童養護施設で育ち…」


と、私の生い立ちから始まった。



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