居場所をください。



「別にお前のためじゃねーよ。

美鈴、一高やめるってのに

あの日、かなり嬉しそうだったから。

……俺はお前との思い出なんて

なんにもねーのに。

体育祭に文化祭、音楽祭、修学旅行

いろいろあったのに。

だから去年も文化祭呼んだのに

お前は完全な仕事モードだった。

俺の友達の美鈴じゃなくて

歌手の五十嵐美鈴だった。


俺ら3年にとって、一高祭は

最後のでかいイベントだったから

今度こそ、美鈴とも思い出がほしくて。

あそこはお前の母校でもあんのに

いい思い出がなにひとつないなんて

そんな寂しいエピソード、テレビで

喋るわけにはいかないだろ?」


………高橋…


「…みんなに頼まれて、着替えて

女の子たちに手伝ってもらって

ウィッグかぶってさ。


演奏終わって一緒にお金数えたり

片付けを手伝ったり

……本当に、私もあのクラスの一員みたいだった。

楽しかった。


絶対見返してやるって

どんだけ笑われたって絶対諦めないって

そう決めてこの世界に入ったけど

あのとき、みんなで楽しく笑ってたらさ

そんなのどうでもよくなったんだ。

……そんなことよりも、みんなが私のこと

忘れてなかったことが嬉しかった。

歌手としての五十嵐美鈴だからかもしれないけど

それでもいいやって思えたくらい

みんなと笑い合えたことが楽しかった。


……だからさ、ありがとね。

高橋のおかげ。」


「やめろよー、美鈴がそんな素直だと

俺の調子まで狂うじゃねーか!」


「じゃあ二度と言わない。」


……でもね、高橋

本当に、あんたは私にとって

最高の友達だよ。


だいすきだよ。


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