居場所をください。
貴也が真剣にそういってくれて
早くなにか言わなきゃ
そう思うのに、泣きすぎて
私の口からはなにも出なかった。
「あ、返事の前に」
もう、しゃべれないから
首で返事をしようと思ったのに
それを貴也の言葉が遮った。
「俺らの結婚
美鈴の育ての親と、美鈴の保護者
それと、美鈴の父親は賛成してるんだけど
事務所に反対されてるから。
社長にも、あそこにいる長曽我部さんにも。
……それでも良い?」
…なんだそれ。
社長も長曽我部さんも
賛成もしときながら反対もしてるのか。
わがままだな。
「…俺と一緒に
あの二人に怒られてくれる?」
「はは…」
その言葉に、私は思わず
声を出して笑ってしまった。
「……大丈夫。
私、長曽我部さんには怒られ慣れてるから。」
泣きすぎて、うまくしゃべれないけど
それでも一生懸命、伝わるように
私は言葉を発した。
上手に喋ろうとは思わない。
相手に伝える気持ちが大事なんだ。
それを、私は長曽我部さんから教わった。
水木先生からも教わった。
「……へへ、貴也みたいな神経質な人
私くらいしかうまく付き合っていけないよ。」
泣きながら笑う私に
貴也もやっと、私に微笑んだ。
「指輪、ちょうだい。」
もう本当にうまい言葉が出てこない。
だけど、それも私らしいよね。
「その前に、返事をちょうだい?」
そんなことを可愛く言う貴也も
本当に貴也らしい。