居場所をください。



長曽我部さんからもらったキーケースは

また、私の家の鍵だけになった。

もはやキーケースの必要性が

わからなくなってくるね、こうなると。


「あ、じゃあこれやるわ。」


そういって長曽我部さんは

自分のキーケースから

ひとつの鍵を私に渡した。


「なにこれ。どこの鍵?」


「社長んち。」


「え、いいの?」


「あのくそ親父、美鈴のこと大好きだからな。

まぁ俺はまた鍵もらえるし、別にいいよ。

まぁあんなのでも一応美鈴の父親みたいだし。」


「はは、そうだね。

じゃあこっちはありがたくもらっとく。

でも私一人でいくことはないと思うけどな~。」


「でも貴也と行くかもだろ。

っていうか行ってやれ。

なんか待ってるらしいし。」


「……気が向いたらね。」


なんて、そうこうしている間に

もう渋谷へと戻ってきていた。


「あ、そうだ。

長曽我部さんにこれあげる。

新曲~。

今まで耳にタコができるくらい

聴いてきたと思うけど

これはまだなんでしょ?

それと今日歌ったヒカリは

ベストのシークレットトラックだからね。

ちゃーんと聴いてよね、これからは。」


「はいはい、わかったよ。」


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