居場所をください。
「ん、そうだ。写真写真!」
「まだ許可もらってないだろ。」
「長曽我部さん聞いてきてよー。
でもサインしたんだし、そのくらいは
多めに見ていただきたいね。」
「んな交換条件出せるか。
聞いてくるからちょい待ってろ。」
「はーい。」
……ほんっと、召し使いみたいだよな。
美鈴のわがまま、どれもこれも聞いてて。
こいつはお姫様か、ったく…
「高橋、最近どう?
大学楽しい?」
「え?まぁー、そうだな。
最近みんなでフットサルやったりしてて
わりと楽しいかな。
でももうすぐテストだからさー
単位落とさないように必死なんだよ。」
「ふぅん、そっかぁ。
あ、なら亜樹に教わればいいじゃん。
頭いいんだし。」
「あ、そうだ「断る。」
い、いや…そんな食いぎみに言うなよ……
「でもフットサルなんだね?
高橋ならもう暑いし海とかプールとか
行くのかと思ってた。」
「お前な…そりゃ行く計画もあるけど
週末は美鈴についてるんだから
行けるわけないだろ?
しかも海はまだ少し早いだろ。
まぁ夏休み、近場では行くかもだろうけど。」
「ふぅん、そっか。
いいなー。」
「でも美鈴海嫌いじゃん。」
「嫌いなわけじゃないよ。
焼きたくないだけ。
「美鈴はそういう夏らしいことしねーの?」
「んー、どうかなー。
まぁツアー終わったら休みあるけど
貴也は舞台回っちゃってるし
休みかぶんないから特に予定なし、かな。」
「ふーん、そう。
じゃあ俺らのにくっついてくれば?
美鈴のツアーが終わった頃、俺らも夏休みだし。
俺の友達には美鈴が美鈴だって
ぜんっぜんバレてもねーし。」
「えー、いいよー。
高橋の友達にバレなくても
向こうでバレて騒がれたら
高橋に迷惑かかるし。
気にしないで行っておいでよ。」
「……そうか?」
「うん、いいよ。
あ、それより私の新曲聴いた?」
「え、いや聴いてないけど」
「えー、もう発売日ですけど!」
「発売前だろが。
どうやって手に入れるんだよ、ったく。」
……にしても
芸能人って本当自由がないんだな…
これがまた国民的かどうかでも
変わるのかもしれないけど
少なくとも美鈴はデビューして4年目
噂される年収は16億と、想像より遥かに
大きくなりすぎているのかもな……