居場所をください。
支度を終え、スマホを確認すると
夏音から"ちゃんと見てるからね。"とメールが来ていて
「美鈴、そろそろスタンバイ。」
いよいよ私の番だ。
私は長曽我部さんの手を握り
ステージ横へと移動する。
私はもう緊張で押し潰されそうだ。
「長曽我部さん、いい?」
「ん?」
長曽我部さんは意味不明と言う感じだったが
私は構わず長曽我部さんに抱きついた。
やはり血の繋がった兄ということだけあって
この人の安心感は本当に別格なんだ。
「美鈴なら大丈夫だよ。」
「……………うん。」
「俺はここにいるから
楽しんでこいよ。」
「うん。」
大丈夫、大丈夫。
うまくいくよね。
ふぅー。
私は思いっきり深呼吸をした。
もうすぐ私の番。
落ち着け、私。
「五十嵐さん、ステージへ。」
「はい。」
「美鈴、行ってこい。」
「うん、行ってきます。」
私は長曽我部さんから離れて
真っ暗なステージへダンサーたちと向かった。