運命の少女と悪魔の少年の学園物語
とにかく走った。迷路のような廊下だが、適当に曲がっては走って。
「…っ、神鳥…さん!」
気づけばそう何度も呟いていた。俺のなかでいつのまにか大きな存在になっていたようだった。
何度目かの角を曲がったとき、神鳥さんがいた。
俺が見たあの景色と全く同じ。
「あ、いた!」
俺はそう叫んでいた。体から力が抜けていくように安心した。
神鳥さんは嫌そうな顔をしているが。
「ここにいたんだ。探したよ!」
「それはご苦労様です。藍井湊太様。」
彼女は軽く頭を下げる。
………嫌だ。
様呼びなんてされたくない。
彼女だけは………!
「ちょっと、その呼び方やめてくれる?」
俺は思い切って言ってみた。
しかし、以外にも低い声が出たために、キレられたと思われたのか、彼女は肩をすくめた。
あ……怖がらせちゃったかな……
「嘘だよー。様呼びされててなんか憎たらしくなってきたから意地悪したとか冗談だよ?」
……………………。
ちゃっかり言ってるじゃん。
「神鳥さんって何?天然?馬鹿なの?」
彼女は俺の言葉を聞いて怒ったのか、頬を膨らませている。
……なんだよ。可愛い反応してさ。
俺の言葉にいちいち反応する彼女を見てちょっと嬉しくなった。
「あ、私迷ってたんだよね。このまま帰らぬ人になるかと思ったよ!」
怒っている表情が一変して、今はスカッとしたような顔になっていた。
……百面相だなぁ……
俺は思い切り笑顔を作って彼女を出口に引っ張った。