rain



暁の部屋には今、彼女がいる


戸惑う暁の姿に確信した




「ねぇ暁、私かあの子かどちらか決めて…?」


「は…?」


「今すぐ決めて」


「ワケ… わかんないんだけど…」


「私、知ってるよ? 今、誰が部屋にいるのか」




いつもならここで言い返してくる暁なのにね




「何を… 知ってんだよ…?」




それから黙ってしまった暁
さっきより強く降ってきた雨が私の体をさらに濡らす


心臓が痛い
黙る暁に怖くて体中が震える


溢れだした涙は止まらなくて
もう雨なのか涙なのかもわからない


逃げ出したい気持ちを押し殺して私は暁に言い放った




「私の友達と… 今、一緒にいるでしょ?」




さっきの電話


暁の声の向こうから聞こえた女の人の声


あれは私の友達のミナミの声




「二人で歩いてる姿も見たことあるし、食事してる所も見た」


「そ、それは…」


「ねぇ、暁」




私を引き止める嘘や言い訳はないの?
それがないのならもう私の事を好きじゃないってことだよね


黙ったままの暁に苦しくて辛くて、だから私は最後の言葉を言い放った


それは二人の関係を終わりにする言葉






「暁、私たち別れよう…?」



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