∞1208∞
泣くな。


泣くな。



気が付けば必死に歩いている。
足は、勝手に歩いている。

弱ってる事に、振り返るなって。

旧姓に戻る時決めたの。

《絶対一人の時以外は弱虫にならない。》


そうやって今のポジションまで駆け上がってきた。

鉄女とか陰口叩かれても、怒りを全部仕事にぶつけて
ザマーミヤガレって、そうやって。
仕事は此処は、あたしが必死に築いた、言わばあたしの《個》であり居場所なのだ。

負けるもんか、負けない負けたくない。

たかが嫌がらせじゃないか、

たかが、ちょっと関係の有る男の使う愛称じゃないか。


大丈夫、まだイケる。
あたしはそんなにヤワじゃない。

ミーティング中の社員を素通りしてデスクに戻り、荒れた息でさっきの
茶封筒を力いっぱい破る。

さっさと確認して仕事しなきゃ


ビリッ

中から、トモの写真がビリビリに破かれたモノが飛び出した。
待ってました、と言わんばかりに飛び出した。

優しく笑うトモの顔が、ビリビリに、破かれた紙吹雪。








…ヒドイ、こんなの…反則じゃんか
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