婚約者は高校生
えーと、それはつまり…俺のことが好きだってことか?
でも普通好きな相手が目の前にいれば、嬉しそうな顔をしたり、頬を赤らめたり、落ち着かないで不自然な行動に出たりとかするもんじゃないのか?
なのに、なんだこの子の淡々とした態度は。
俺のことが気になっているにしても、これは…違う気がする。
「会長さんに多賀さんはどんな人なのか聞きましたら『見たほうが早いだろう』と書類を用意してくださいまして」
お祖父様め。
本当に何を考えているんだ。
なんで彼女にそんなに協力的なんだよ。
俺はため息をつきながら再び壁に背を預けかけて、ハッとした。
「ちよっと待て…書類?」
「はい。多賀さんが届けてくださった封筒の中にあったんです。ただ…その書類を受け取ったあと、どうしようか少し迷いました」
「…迷った?」
「すでに多賀さんには一度断られていたので、行く意味があるのかと考えました。でもなぜか多賀さんが気になりましたのでアルバイトをしてみようと思ったんです」
「…そう」
冷たくしたのに、いったい俺の何がこの子を惹き付けたのかわからない。
「じゃあなんであの時、俺のメリットを探す時間をくれと言ったんだ?」
「アルバイトを決めたのは多賀さんのことを知りたかったからです。ですが、仮の婚約者になって欲しいのも事実です。だからそのための時間をいただきたかったんです」