婚約者は高校生




「はじめまして。彼女は瀬野尾姫紀(セノオ ヒメキ)さんです」



付き添いの女性が紹介すると目の前に座る彼女が丁寧な所作で頭を下げる。


「瀬野尾姫紀と申します」


「多賀亮介といいます」



俺も続いて挨拶を返す。

すると彼女は緊張した面持ちで顔をあげ、俺をまっすぐに見た。

俺を前にしての緊張ではなく、ピリッとした使命感のようなものがその瞳にみてとれる。



…なんだ?



今までに会った見合い相手といえば、俺を前にして舞い上がるか、または好きな相手がすでにいて乗り気ではないのがわかるような相手ばかりだった。

見合い相手にしては珍しいその瞳が少し気になった。



「…姫紀さんのことは先日簡単にお伝えしたと思うのですが」



付き添いの女性が話はじめたのを聞いてハッとする。


…そういえば。
見合いをするつもりもなかったし、てっきりお祖父様が断ってくれると思っていたから彼女についての情報がまったくない。

名字から大手グループ会社のご令嬢であることだけは察しがついていたが…。


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