婚約者は高校生
「なるほどね~。それで落ち込んじゃって、珍しく誘いにのってくれたってわけね」
「いや、落ち込んでいるわけでは…」
ない、と思う。
ただ少し衝撃を受けたというか、疑問に思っただけだ。
…まあ、人の好みなんて千差万別あるわけだし、俺になびかない女のひとりやふたりいたところで驚くことでもないか。
うん、そうだな。
俺はひとり頷いて、目の前のビールに口をつける。
そんな俺をまじまじと見つめながら春香はテーブルに置かれた枝豆に手を伸ばした。
「それにしても私以外に亮介のことよく見てる子がいるなんて意外だったわ」
枝豆を手に感心したように呟かれた言葉に俺は眉根を寄せる。
彼女が俺を見ている?
そんなはずはない。
俺は一気にビールを飲み干すと春香を見据えた。
「なんでそう言い切れる?彼女は俺の目の届く範囲にいるが、目があったことなんてないし、こちらを向いてる素振りすら見せたこともないんだぞ」
「でも見てなきゃそんなことは言えないわよ」
「そんなわけ…」
ない、となおも言おうとした俺に春香は一瞬呆れたような顔を向けた。
「……。はいはい、わかったわよ。じゃ、今日は嫌なことは忘れて飲もうか。…って、亮介のビール空じゃない」
春香は仕方なさそうな笑顔を浮かべると追加のビールを頼むため、店員を呼んだ。