婚約者は高校生
彼女は資料を渡しながら何か言いたげな瞳を投げかけてくる。
何かを聞きたくて、でも聞く勇気がない、というようなそんな視線だ。
…聞きたいことがあるならハッキリ言えばいいのに。
ま、話したくないなら無理に聞くつもりはない。
それに今は就業中だし、仕事以外の内容なら即却下だ。
俺は資料を受け取ると、それにザッと目を通して揃っているかどうか確認する。
うん、問題ない。
「ごくろうさま。確かに受け取りました」
顔を上げて微笑むと、相手は一瞬目を見開き、顔を紅潮させた。
「…っ、では仕事に戻ります」
彼女は俺に軽く一礼すると何も聞くことなく仕事に戻っていった。
さて、と。
女子社員の視線の理由はいまだわからないが、今はそれを気にしている場合ではないな。
それよりも今日の業務をこなしていかなければ、後で面倒なことになる。
仕事は待ってはくれないからな。
俺は資料を整えると、会議室に向かうために席を立った。