婚約者は高校生
「多賀さん、その女性に会わせてくれませんか?」
…は?
何を言っているんだ、この子は。
怪訝な顔をした俺にかまうことなく彼女は言葉を続ける。
「直接会うのがダメなら遠くからでもいいんです。どんな方なのか見てみたいんです」
へぇ。
俺と付き合っている女性を見たい、ね。
しかし…見てどうするんだ。
仮に俺と付き合っている女性がいたとして、それを見るのは現実を突きつけられるだけじゃないのか。
大体、そんな状態で仮初めの婚約者になったとしても俺に本命の女がいたらボロが出るのは時間の問題だ。
仮の婚約者よりもきっと本命の女を優先するだろうからな。
ま、最初から二股なんてするつもりはない。
そうなると俺の評判は地に落ちるだろうからな。
……。
ちょっと待てよ。
「会わせろ」なんて言うのはそんな相手が本当にいるのか確かめるためにカマをかけてきているだけかもしれない。
「…なんで見たいんだ」
言葉を選びつつ静かに声をかけると、瀬野尾姫紀は一瞬言葉を詰まらせ、視線を下げた。
「それは…」
「それは?」
「多賀さんのことをもっと知りたいと…思ったからです」