婚約者は高校生
「何でしょうか?話してみてください」
「昨日、部長と一緒にいた方は彼女さんですか?」
……………は?彼女?…………………。
えーと、つまり…なんだ。仕事の話じゃなかったのか。
想定外の質問に一瞬思考が停止したぞ。
「あの…」
「ああ、すみません。そんな質問をされるとは思っていなかったもので」
仕事の話かと思って気合いを入れて聞こうとしたのに、なんだか肩透かしを食らった気分だ。
まあいい。トラブルがなくてなによりだ。
それよりも今、「昨日一緒にいた人は彼女か」と聞いたな。
つまり、俺と春香がいたのを見たってことだ。
なるほど、噂の元はこれか。
それにしても確かめるのが遅くないか?
きちんと裏取りをしてから「俺の彼女を見た」と言ってほしいものだな。
ま、噂なんてそんなものか。事の真偽なんてどうでもいいものだしな。
それなのに改めて本人に確認をとるとは…周りに何か言われたとしか思えない。
「昨日の女性は彼女ではありませんよ」
そう答えると女子社員はホッとしたように顔をゆるめた。
「良かった…そうなんですか。…あ、もうひとつ聞きたいのですが」
女子社員は俺から視線を少し横へずらし、そこに立つ人に鋭い視線を向けた。
「そこにいる坂下さんとはどのような関係なんですか?」