婚約者は高校生


…まあ、何もないわけではない。

期間内に瀬野尾姫紀が俺のメリットになることをみつけられたら、婚約者にならなければいけないからな。

だからといって、それを話す必要はない。
話したら面倒なことになるのは目に見えている。

余計なことはしてくれるなよ。


それを感じ取っているのか、彼女は笑顔を崩すことなく女子社員に向き合っていた。



「私と多賀さんは皆さんが思うような関係ではありません。それに、私は今日でアルバイトが終わるんです。こうして会社で一緒にいることはもうありませんから」



そういえば、そうだったか。

俺と同じく女子社員はハッとした顔をした。



「…そうだったわね」



「はい。では私はこれで失礼します」



彼女はペコリと女子社員にお辞儀をしてから俺を見上げた。



「多賀さん、行きましょう」



「あ、ああ。そうだね」



女子社員に「お疲れさま」と声をかけると先ほどの刺々しい態度はどこへいったのかと思うほどにこやかな表情を浮かべていた。


どうやら坂下…瀬野尾姫紀は脅威にならないことがわかったのか、笑顔の下に勝ち誇ったような雰囲気が感じ取れる。


「あんな地味な子より私が魅力的なのはわかっていたのに、なんで余計な心配したのかしら」とでも言っているかのようだ。


俺が相手にしないとは微塵も考えないのだろうか?

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