婚約者は高校生
置き土産
アクセサリーショップ、夜景の見えるレストラン、雰囲気の良いバー。
他にも女性と出かけたことはあったが、仕事終わりに会う場合はそのくらいしか行くことができない。

まあ、ここ最近はそれすらもしていない。
休日を潰してまで会う、なんてことはいつぶりだろうか。

不本意ではあったが、彼女との水族館デートは悪くはなかった。
しかし、それで今まで積もった疲れが消えるわけでもない。

彼女と会えば疲れも吹っ飛ぶ、なんて言ったのは誰だ。
精神的に癒やされようと、身体的には回復などするわけがないのだから吹っ飛ぶはずかない。
少なくとも今の俺には効果がない。
それよりも必要なのは睡眠だ。


彼女を送り届けて家に着くや否や、見計らったかのように電話がかかってきた。

誰だよ。やっと手に入れた俺のプライベートを邪魔しようとするのは。

俺は乱暴に携帯をつかみ、画面を確認せずに耳に押し当てた。



「はい、どちら様で?」



不機嫌さを隠すことなく口を開くと、



「水族館デートはどうだったかの」



こころなしか嬉しそうな重みのある声が返ってきた。












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