婚約者は高校生
どう思いますかって…どういうことだ。
意味がわからず怪訝な顔をする俺にさらに彼女は続ける。



「て、手ざわりとか」



言われて俺はぬいぐるみを手にする。
思ったよりもなめらかな生地にフワフワした感触。
家にあるクッションよりも幾分グレードは落ちるが…悪くはない。

見た目も女子受けはしそうだし、女の子が部屋に置いておく分には問題ないだろう。



「…まあ、悪くないんじゃないか」



そう答えると彼女はホッとしたように「そうですか」と呟いた。

それが何を意味するのか俺は知らなかった。
ただ、なぜ意見を求めたのかと思っただけだった。



「じゃあこれにします」


「そうか」


ぬいぐるみを手にレジに行こうとすると、ぐいっと腕を引かれた。

…まだ見たいものでもあったのか。

正直、女性の買い物に付き合うのは得意ではない。
見たいものがある、と付き合わされた挙げ句、結局買わないということが多々あるからだ。
女性たちいわく、見るだけでも楽しいということらしいのだが、効率的ではない。

こちらの方を見ずに「あっちが見たいの」と大抵の女性は腕を引っぱりながら目的のコーナーを見ている。そのため、俺が一瞬引きつった顔をしようとも気付くことはない。
たとえ見られたとしても、すぐに笑顔を貼り付けるから、気付く女性は全くといっていいほどいないが。

長々と付き合わされるのか、と思いつつ彼女を見下ろすと彼女の視線はまっすぐこちらを向いていた。








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