婚約者は高校生
彼女を送って、さあ帰るかと思ったその時に見つけた物。
彼女が自分で買うと言って譲らなかったぬいぐるみが後部座席に忘れられているのに気がついた。

忘れ物があるぞ、と彼女に電話をかけると「多賀さんへのプレゼントです」と言われた。



「はぁ?」


あからさまな不機嫌さが口をついて出た。
一緒に行ったのにプレゼントとかって意味あるのか?…まあ俺も人の事は言えないが…それ以前にコレは男にプレゼントするもんじゃないだろう?



『多賀さんの睡眠を守ると言っていたのに邪魔をしてしまいましたので、そちらで安眠していただければ、と』


なるほど?
安眠を妨害したことを認めるわけか。つまり…お詫び、ということか。
デートを理由をつけて断ってくれたら、と思ったりもしたが、あの強引なお祖父さまに言われたのであれば、彼女は断れないだろう。
それは仕方のないことだと冷静に考えればわかる。
だから、詫びなど必要ないのだが…。



『あ…抱き枕、お嫌いですか?』



いや、そういうことじゃない。と思うのは俺だけだろうか。
抱き枕…はともかく、つぶらな瞳に丸っこいフォルムにデフォルトされたクジラが俺の部屋にマッチングするはずはない。
余計な物を置かず、モノトーンでシンプルにまとめた部屋にブルーのぬいぐるみという異質な存在が合うはずはない。

…というのは言い訳で、男がファンシーな物を置けるか!というのが本音だ。

やはり彼女にコレはお引き取り願おう。

< 92 / 103 >

この作品をシェア

pagetop