魅惑な彼の策略にはまりました
「アネラの後のスケジュールが押してるんだ。連絡入ってない?」


宗十郎はさらりと私の愚痴に答えを寄越す。


「入ってないわよ。あんたは、アネラのマネージャー?」


「しがないメイク担当」


“しがない”感ゼロですけど。
私は心の中だけで、つっこむ。

別にいい。今日は午前の予約は入っていない。お通ししちゃいましょう。
立ち上がりAスタジオの鍵を渡すと、宗十郎は肩をすくめる。


「そっちは他の奴らに渡して。メイクルームの鍵貸して」


「なによ、一緒に来たんじゃないの?」


「俺はゲストスタッフだから。アネラのファミリーじゃないの」


ファミリー同然じゃない。人気モデルとべったりなメイクなんだから。
はいはいとメイクルームの鍵を手に乗せてやる。


「ソウー!!」


スタッフルームの入り口から甲高い声が聞こえた。留美子の声よりずっと高い。

振り向くとそこにはモデルのアネラがいた。

ハワイ系アメリカ人の父と日本人の母のハーフのアネラは、21歳。
見た目はアジアンで、175センチの身長と小さな顔が彼女を9頭身に仕上げている。

何度もうちのスタジオを使っているので、私は知っているけれど、あちらは私を覚える気は無さそうだ。
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