魅惑な彼の策略にはまりました
答えながら、宗十郎の顔もなかなかひどいと思う。

瞼が下まつげの上に落下しそうだし、なんとなくむくんでいるし、アッシュのイケメン系ショートも軽く乱れている。


「悪いんだけど、全然覚えてないんだよな」


「すごい飲んでたもん」


記憶がないのは、逆によかったかもしれない。
謝りにいったことはうやむやになったし、押し倒される格好で色々話たこともなかったことにできる。
頭突きの結果、ヤツのおでこが痛んでも私のせいとは思うまい。


「……なに、あんた、これから仕事?」


「うん、まあ」


宗十郎はばりばりと頭をかいて、イケメン形無しの気の抜けたあくびをした。


「キスくらいはした?俺たち」


いきなり問われ、私は激しく狼狽した。
だけど、そんな素振りは見せないように細心の注意を払う。


「するか、馬鹿」


「残念。今度はしてみよう」
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