魅惑な彼の策略にはまりました
「四季!」


そこに立っていたのは宗十郎だった。

綿のジャケットにスリムジーンズ、オシャレな中折れ帽といういつも飲みに来るときのようなスタイル。


「待ってよ、ソウ~!」


カツカツとヒールを響かせ追いすがってくるのは、アネラだ。

こちらはハワイからどこでもドアで来ちゃいましたって格好だ。お尻の見えそうなショートパンツに赤の薄手のジャケット。
あらわな胸元にロングヘアが幾筋か張り付いている。


「宗十郎……」


どうやら状況としては、私と浮気男・中根の対決を一の橋交差点あたりで発見した宗十郎が、デート中のアネラを置き去りにダッシュしてきたって感じ?
たぶん、当たってる。


「なに、この男」


宗十郎の顔はクールなままだったけれど、私の剣吞な表情は読み取っているようだ。


「え?なに、高原さんの彼氏じゃないよね、このオシャレ若造」


浮気男が、私も宗十郎も見下したような笑顔を見せた。

アネラは、少し離れたところで立ち止まって様子を見ている。
自分の芸能人という立場を鑑みているのだろう。正解だわ。


宗十郎は何か察したようだ。
するっと私の前に立つと、浮気男に向かって言い切った。
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