魅惑な彼の策略にはまりました







晴れた4月の昼下がり、私はリリに呼び出されていた。

仕事の合間に、ランチをしようという約束をしたのだ。
渋谷の本社にいた私は、駅の近くで待ち合わせに応じた。

リリが行きたがっていたステーキのお店を目的地に決める。
ランチサービスでサーロインが安いお店らしい。

レッスンの合間のリリは、ヨガマットとレッスンバッグを担いでいるけれど、その細い身体のどこにステーキをしまうつもりだろうと感心する。
午後もヨガのレッスンがあるんだよね、この人。

リリは念願のサーロイン、私は牛タン丼を頼み、狭い二人がけに向かい合った。


「最近、どう?三人集まらないから、飲み会減ってるよね」


リリが言う。私はごまかすように笑った。


「ふたりがアメリカに行ってる時みたいだよ」


「全員日本にいるのにね」


リリはたぶん、宗十郎から話を聞いているんだろうと思う。宗十郎がなんて説明したか気になる。
そんなこと、言えないけれど。


「四季、食べたらちょっとそこまで付き合って」


リリは言って、じゅうじゅう焼ける肉にナイフとフォークを突き立てた。




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