好きにさせて
コトハはもちろん、かっこいい。
今はそう思わないけど。わたしがコトハに恋してた時はすっごくかっこよかったんだ。
何をやらせても何でも出来るし、みんなに優しくてクラスの人気者。
だから、幼い頃から女の子にはモテる。いろんな子がわたしと同じようにコトハを好きになる。
いろんな子がコトハと仲良くなる。だけど、コトハの中でわたしの存在はわたしの中でのコトハの存在のように特別なものだから、
コトハはわたしを1番に持ってくる。
わたしを優先する。
わたしを守って、わたしを笑顔にしてくれる。
絶対、わたしの隣に居てくれる、
そんなんだから好きになるじゃん。
特別扱いが嬉しくなるじゃん、
コトハがわたしに優しいから舞い上がっていくんだよ。
コトハを好きになるのは当たり前だった。
だから、コトハに他の女の子が近寄って来る度に“わたしはコトハだけが好き!コトハもわたしだけ見てて”って何度もそう言った。
小学6年生になると、恋と言うものがどんなのかちゃんと理解出来るようになった、だから聞いたんだ。
“コトハは誰が好きなの?
わたしの好きは特別な好きなんだよ!
コトハはわたしのこと嫌い?”
そしたら言われた。
“好きじゃない”
俺は咲来のこと好きじゃないよ、好きの気持ちは持ってないよって。
呼吸することを忘れそうになった、本当に辛くて、わたしの気持ちが何だか惨めで情けなく思えた。
その場から逃げ出して、自分の部屋でひとり唇噛み締めて泣くのを我慢する、負けたくない、わたしはこんなことで傷つくほど弱くないんだ!って堪えてた。
だけどね、気持ちをこんなぐちゃぐちゃにさせたのはコトハのくせにわたしの所まで来て、“我慢してんの?泣けば良いじゃん、俺は咲来のこと好きじゃないから”と、こんな酷いセリフを浴びせてわたしを泣かせるんだ、コトハが優しくわたしを抱きしめるから泣くしかなかった。
その後、何度も何度もわたしはコトハに好きと伝えるけどその度に好きじゃないをわたしは返されるようになった。
後悔、したよ。何度も。
だけど、その後悔を後悔はしない。
後悔することを後悔しない。
コトハは今でもわたしの隣に居てくれるもん。それだけで何もいらない。
恋とは全くの別だけど、これはわたしとコトハだから分かる相手への想いなんだ。